2024年12月1日(日)
きょうの潮流
災害で自宅の水洗トイレが使えなくなったら、あなたはどうしますか▼NPO法人日本トイレ研究所が9月と11月、災害時の自治体のトイレ対策と衛生に関する意識調査を公表しました。全体統括責任者を決めた自治体は半数以下で、確保・管理計画を策定したのは3割弱。災害発生後3日間、想定避難者に対して足りる見込みの自治体は、3割弱にとどまりました▼在宅避難者や帰宅困難者の対策も、大きな課題です。首都直下型地震ともなれば、コンビニエンスストアや公園のトイレももちろん使えません。ところが、水と食料の備えや家具の転倒防止などと比べて、トイレや衛生に関する備えは準備不足だと感じていることが、改めて明らかになりました▼能登半島地震や南海トラフ臨時情報の報道は、多くの人に備えのきっかけを与え、携帯トイレは品薄になりました。排せつの問題はデリケートで口に出しにくい。日常的な話題になって備えにつながるようにと、トイレ・健康教育をはじめ多彩な取り組みを進めます▼トイレは設置して終わりではありません。段差はなくす。明かりも必要。清掃が行き届かなければ感染症が増え、我慢するようにもなります。同研究所代表の加藤篤さんは言います。「被災者が安心して利用できているかどうか、トータルで責任をもって指揮をする人が不可欠です」と▼大切なのは「被災者格差」をつくらないこと。「この人は助かったけれどこの人は残念だった、ではすまされない。命と尊厳の問題です」