2024年12月1日(日)
革新懇全国交流会in京都
各氏の発言
30日から京都市で始まった「地域・職場・青年革新懇全国交流会in京都」で市民連合ユナイトきょうと事務局の白坂有子さんが来賓あいさつし、弁護士の角田由紀子さん、阪南大学教授の桜田照雄さんが講演しました。各氏の発言を紹介します。
講演
ジェンダーに憲法の視点を
弁護士 角田由紀子さん
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角田さんは、依然としてジェンダー不平等が大きな問題であると述べた上で、「日常生活がジェンダー規範に与える影響はとても強い。ジェンダー規範はシャワーのように日々降り注ぎ、呪文のように繰り返されて、私たちの行動のあり方、価値判断、役割分担などを、無意識のうちに左右し、縛っている」と発言。「ジェンダー認識を改めるためには、それを生み出す文化や社会の常識の大本にある政治を変えなければならない。当然これは政党の政策課題になるべきもの」だと強調しました。
選択的夫婦別姓の導入を巡って、国民的運動の成果が反映され裁判の判決で大きな進展があったこと、国連の女性差別撤廃委員会が日本政府に4回目の導入勧告をしたことに言及。「夫婦同姓を強制しているのは今や日本だけ。個人が生き方を選択できることは、それ自体が基本的人権。『選択』ということは、個人の尊厳と自立を強めるもの」だと主張しました。
ジェンダー平等の社会を実現するために「憲法の視点での変革がとても大事。今のジェンダー規範を生み出した社会構造を、人間らしい生き方を保障する憲法の視点から点検することが必須」と発言しました。
最後に、京都出身の国語学者で平和活動家の寿岳章子さんについて紹介。「憲法を暮らしに生かすことを実践された方。憲法で女性たちを激励し、ともに運動してきた」と述べ、その姿勢を生かしていきたいと述べました。
ずさん・危険 万博止めよう
阪南大学教授 桜田照雄さん
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大阪で維新政治とたたかってきた桜田さんは、2025年大阪・関西万博計画を批判。計画のずさんさや危険性について講演しました。
会場の大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」には上下水道も電気もガスもなく、陸上ルートも2カ所しかないとして「なぜこんなところで大規模イベント、IR(カジノを中核とした統合型リゾート)という大規模商業施設を造るのかが最大の問題だ」と批判しました。
周辺の多くの断層の存在をあげ「地震などの災害のリスクに対する備えがほとんどできていないのが現状だ」と指摘。大阪湾の地層は1000メートルから3000メートルの泥の地層で、現在も沈下が進んでいるとして「世界でも稀有(けう)な地層を埋め立てているのが大阪ベイエリアだ」と述べました。
また、夢洲は産業廃棄物やしゅんせつ土砂、建設土砂でできた埋め立て地だとして「どこを掘ってもメタンガスが出てくる」「夢洲を掘るというのは絶対的なタブー」と強調。しかも、汚染物質の規制が始まる前に埋め立てが始まった土地だとして、工業地・準工業地だった夢洲を商業地に変更した欺まん的なやり方を批判しました。
2800万人という荒唐無稽な来場者予測に基づき、万博関連インフラ整備は、10兆円超える規模になっていると述べ「ずさんでボロボロ、どんな危険があるかわからない計画が作られてしまった」と指摘。夢洲は「集客イベントの会場として全く適切ではない。事故が起きないうちに中止すべきだ」と訴えました。
来賓あいさつ
人権・民主主義とりでに連帯
市民連合ユナイトきょうと事務局 白坂有子さん
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白坂さんは、総選挙で自民党が大敗したとして「『赤旗』のスクープによって自民党の裏金問題が報じられ、日本中を揺るがす選挙だった」と発言。一方、「政権交代のチャンスにもかかわらず、多くの票が耳ざわりのよい、改革のように聞こえるスローガンを掲げた野党か与党かよくわからない政党に流れる結果となった」と述べました。
兵庫県知事選などでは真偽不明な情報も含めSNSの情報が選挙に与える影響が大きくなっているとして「膨大な情報の真偽を判断できる、知性を培う教育」などが必要だと指摘しました。
「SNSの情報があふれかえるなかで、改めて革新懇という全国組織について考えた」として、「市民と野党が支持政党の枠を超えて市民が主役の社会を目指す活動をしてきた、私たちの大先輩」と発言。「大本営発表があふれかえっていた時代でも、真実を見抜いて弾圧を受けながらも戦争に反対していた。本当に勇気と知性のある人たちがいた」として、「戦争できる国への準備が着々と進められている今、私たちは先人の思いを受け継いでいるみなさんと、人権と民主主義をとりでに、よりいっそう連帯したい」と呼び掛けました。
総選挙では市民と野党の共闘が困難な中でも、全国で自然なかたちで共闘ができた地域があったとして「このことは市民と野党の共闘が今までよりいっそう地域に根付いた新しいフェーズ(局面)に入ったのではと希望を感じている」と語りました。
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