しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年11月30日(土)

主張

石破首相所信表明

国民の声に真摯に応えたのか

 「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、真摯(しんし)に政策を協議し、よりよい成案を得ることだ」。石破茂首相は臨時国会での所信表明演説の冒頭、こう述べました。さらに「先般の選挙で示された国民の声を踏まえ…国民の安心と安全を守るべく、取り組んでいく」とも表明しました。

■通らない強権政治

 総選挙で自民・公明の与党が衆院で過半数割れの歴史的大敗を喫し、これまで国民の声や野党の反対を無視して予算や法律などを押し通してきた強権政治が通用しなくなったことを示すものです。

 石破氏がそう言うのなら、まず問われるべきは所信表明演説の中身です。

 総選挙で国民が下した審判は、何より自民党の裏金問題への怒りでした。石破氏自身も、演説の中で「先の選挙結果は、主権者である国民からの、政治資金問題や改革姿勢に対する叱責だった」と認めました。

 ところが、国民が求める裏金問題の真相究明や、金権腐敗を一掃する「政治改革」の要である企業・団体献金禁止に一切言及しなかったのは重大です。

 裏金問題への国民の怒りの根底には、物価高騰や賃金低迷などによる暮らしの困難への無為無策という自公政権の経済失政に対する不信、批判があります。

 石破氏は、経済政策に関し、「103万円の壁」について来年度の税制改定で「引き上げる」と述べました。生計費非課税の原則に立って、課税最低限を現行の103万円から、物価高騰や賃上げの水準を超えて引き上げるのは当然です。

 加えて、税制全体を改革し、最悪の生計費課税である消費税を緊急に減税し、廃止へ向かうことが必要です。これは有効な物価対策でもあり、価格転嫁が困難な中小企業や賃上げの恩恵を受けにくい人々への大きな支援になります。税の応能負担原則を徹底し、大企業、超富裕層への優遇を改めることも不可欠です。

 しかし、石破氏は、2030年度までにAI・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行うと表明するなど大企業優遇の姿勢を示しました。次期トランプ米政権の下で「(日米)同盟をさらなる高みに引き上げ」、「防衛力の抜本的強化を着実に進める」と述べ、5年間で43兆円もの軍事費をつぎ込む大軍拡を継続しようとしています。

■安心安全守るには

 広島、長崎の被爆者らでつくる日本被団協は総選挙のあった10月に、核兵器は絶対に使われてはならないという「核タブー」を国際社会に確立したとしてノーベル平和賞を受賞しました。それなのに、石破氏は核廃絶の問題に一言も触れませんでした。沖縄の民意を踏みにじる辺野古新基地建設や、国民の多くが存続を求める健康保険証の廃止なども改めて表明しました。

 高齢者の医療・介護の3割負担の拡大や国保料値上げなど、社会保障の公費負担を28年度までに1・1兆円も削減する「改革工程」の具体化も明言しました。

 「国民の安心と安全を守る」には、財界・大企業の利益最優先、日米軍事同盟絶対の政治のゆがみを正すことが求められます。日本共産党はそのために国会論戦でも全力を尽くします。


pageup