2024年11月30日(土)
法令違反9社 自民側に献金
五輪談合・電通 認証不正・トヨタ 計1億3800万円
政治資金収支報告書
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重大な法令違反が問題になっている電通やトヨタ自動車など日本屈指の大企業9社が、2023年に自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)へ合計約1億3800万円(表参照)の献金をしていたことが29日、判明しました。同日付で公開された同年分の政治資金収支報告書から分かりました。
これによると、東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で公判中の広告大手2社と、自動車の型式認証不正で国土交通省から是正命令などをうけた自動車メーカー7社が国政協へ献金していました。東京五輪には国費約4668億円が投入されています。税金を含む事業や自動車ユーザーから不正行為の結果で得た利益が、自民党側に還流した形です。
公正取引委員会は23年2月28日に、広告大手の電通と博報堂などを五輪のテストイベントの受注を巡る談合の疑い(独占禁止法違反)で刑事告発しました。東京地検特捜部の起訴後に、電通は同年6月と12月に計480万円を国政協に献金。博報堂も同7月に115万円を提供しました。両社は現在も裁判中です。
自動車大手には、量産に必要な型式指定の認証試験を巡る不正が広がっています。23年以降に不正が発覚したのは、豊田自動織機、ダイハツ工業、トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機の7社。
ダイハツは23年5月19日、認証不正があったと国交省に報告します。国交省は同24日から同社に立ち入り検査を開始。その最中の同年6月20日に、同社は1970万円を国政協に献金しました。
ダイハツは60車種以上で不正をしていました。これを受けて国土交通省は各社に社内調査を要求。今年5月までに、トヨタをはじめ大手5社で不正が発覚しました。
ダイハツや豊田自動織機をグループに持つトヨタは、23年6月に国政協へ5000万円を献金。国政協に献金した企業のなかでは最高額です。
これら9社は政府から巨額の発注や補助金を得ており、与党とも密接な関係があります。
政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、「重大な法令違反を起こした企業から政権党の政治資金団体が献金を受ければ、『なんらかの手心を加えるよう求められたのか』と疑われるようになる。道義的に問題がある献金だ。本来なら国政協が献金を断るべきだ」と指摘します。