2024年11月29日(金)
日本共産党国会議員団総会
田村委員長のあいさつ
日本共産党の田村智子委員長が28日、臨時国会の開会にあたって開かれた国会議員団総会で行ったあいさつは次の通りです。
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第2次石破政権が発足して、最初の本格的な論戦となる臨時国会が開会しました。
総選挙での国民の審判によって生み出された「少数与党国会」となります。これまでの「自民党1強」のもとでは、国会審議を軽視し、数の力で法案を押し通す政治が横行しましたが、同じやり方は通用しません。新しい国会では、行政府に対するチェック機能を発揮し、徹底した審議を通じて、国民の意見や要求を反映した政治を進めるという、国会の本来の役割を果たせるのかどうかが問われます。この点で、すべての政党の真価が試されることになります。
私たちは、自民党政治を変えてほしいという民意に応えて奮闘し、国民の要求実現に全力を挙げます。同時に、自民党政治に代わる新しい政治への改革を太く求めていこうではありませんか。(拍手)
「政治改革」――裏金真相究明と企業・団体献金の全面禁止を
臨時国会の最大の焦点は、総選挙での国民の審判に応え、裏金事件の真相解明と金権腐敗の一掃に、国会がどうとりくむかにあります。
裏金事件の全容解明は不可欠です。裏金事件裁判で有罪が確定した安倍派会計責任者は、政治資金パーティー収入の議員へのキックバックについて「幹部の協議で再開を決めた」と証言しています。安倍派幹部らが政倫審で偽証した疑いを含め、徹底的な再調査が必要です。
さらに新たに公開された昨年の政治資金報告書では、またもや、自民党東京都連の政治資金パーティー収入の不記載が明らかとなりました。当時の東京都連の会長は、政倫審への出席も拒んでいる萩生田光一氏です。全く反省のない自民党の裏金議員に対して、公開の政倫審への出席を求めるとともに、偽証が許されない証人喚問によって真相究明を行わなければなりません。
「政治改革」の根幹は、企業・団体献金の全面禁止です。ところが、自民党「政治改革」本部がまとめた「基本的考え方」には一言もなく、「企業献金の何が悪いのか」とまで開き直っています。総選挙で厳しい審判が下されてもなお無反省、裏金事件はもう終わりと幕引きをはかり、政治資金パーティーを抜け道とした企業・団体献金を温存するなど、断じて許されません。
本日、わが党は、「企業・団体献金全面禁止法案」「政党助成法廃止法案」を参議院に提出しました。政治改革特別委員会など国会の正規の場で、各党の案を徹底審議し、企業・団体献金の禁止、政策活動費廃止など、国民の求める政治改革を実現しようではありませんか。(拍手)
自民党の裏金を暴き、総選挙での裏金候補者への2000万円支給も暴き、自民党大敗に貢献した党として全力で奮闘しましょう。(拍手)
緊急かつ抜本的な経済対策への転換を求める
今国会のもう一つの課題は、経済対策です。国民の暮らしの困難に向き合い、切実な要求を掲げ、緊急かつ抜本的な経済対策を求めましょう。
能登半島災害への対策が急がれます。一昨日も震度5弱の地震が起きた能登半島は、いまだに9月の豪雨災害直後の状況とほとんど変わらない状況におかれています。学校の体育館にもうけられた避難所は、今も低いパーティションで区切られた段ボールベッドという状況です。介護保険の自己負担が今後どうなるかもわからず、十分な体制もないまま、特別養護老人ホームへの移動を促すなどの事態も起きています。また、土砂崩れの復旧が進まない中で大雪となったらどうなるかなど、政府の無為無策の克服が緊急の課題となっています。
「健康保険証を存続せよ」の声は、12月2日の廃止を前にして、新たに強まり広がっています。マイナ保険証はトラブルが後を絶たず、そもそも国民に強制すること自体が許されません。健康保険証の存続を石破政権に強く迫りましょう。
昨日、わが党は、来年度の大学学費値上げを止めるための緊急助成を政府に要請しました。総選挙では、主要政党全てが「教育無償化」や「負担軽減」を公約しており、さらに負担を重くする値上げを止める責務があります。これ以上の学費値上げを止めて、学費値下げ、無償化へと向かわせていこうではありませんか。(拍手)
介護報酬引き下げを元に戻し拡充に向かわせる、消費税減税・インボイス廃止、農業予算の拡充とコメの安定供給など、切実な暮らしの要求に応え、その実現へと奮闘しましょう。
ジェンダー平等を求める運動に連帯し、とくに「選択的夫婦別姓は実現の時だ」「自民党は妨害をやめよ」と迫ろうではありませんか。(拍手)
経済対策――公正な税制への改革と大幅賃上げこそ
来年度予算の編成に向けて、「103万円の壁」にメディアの話題が集中しています。課税最低限を103万円から引き上げることは当然ですが、これは政府の経済政策のゆがみの一部分の問題であり、いま求められているのは、経済政策そのものの根本的な転換です。それなしに「103万円の壁」の解決だけで、暮らしがよくなることにはならず、引き上げのための財源いかんでは逆に暮らしの悪化を招く危険性もあります。
いま必要なのは、一つに、税制のゆがみを根本からただすことです。まず何よりも生計費非課税の原則に立って、最悪の生計費課税である消費税を緊急に減税し、廃止へと向かわせる。また、応能負担原則を徹底し、史上空前の利益をあげる大企業、超富裕層への税優遇をあらためることです。法人税は、消費税増税とセットで税率が引き下げられ、研究開発減税など大企業向けの減税も繰り返されてきました。所得税・住民税の最高税率も引き下げられたままです。所得1億円を超えると所得税の負担割合が激減する「1億円の壁」の問題も、いまだに残されています。庶民には重い税負担、大企業・富裕層には税優遇というゆがみをただす議論こそ求められています。課税最低限を物価高騰や賃上げの水準を超えて引き上げることは、こうした税制の根本的改革のなかに位置づけて進めるべきです。
二つに、収入を増やす、手取りを増やすためには、大幅賃上げが不可欠です。人件費コストカットで労働者全体の賃金を抑えこみ、一部の大企業に巨額の内部留保がため込まれている、このゆがみに切り込み、内部留保を賃金に回す仕組みを真剣に検討すべきです。賃上げと一体に労働時間短縮にとりくむことは、労働者の健康と豊かな暮らしにとってのみならず、日本経済を良くするうえでも待ったなしの課題です。
三つに、社会保障・教育の予算拡充が必要です。学生にとって何よりも緊急優先課題は、高すぎる学費の値上げを止め、無償化を目指して値下げに踏み込むことで、「103万円」を超えるような長時間のアルバイトから解放し、安心して学べる学生生活を保障することにあります。最低保障年金の創設や、国民健康保険料の引き下げなどを行わなければ、「106万円の壁」「130万円の壁」の解決になりません。
国民の暮らしの困難を解決するには、財界・大企業の利益最優先という政治のゆがみを徹底的にただしていくことが求められます。ここに切り込む、わが党ならではの論戦で、抜本的な改革へと政治を動かそうではありませんか。(拍手)
「日米同盟絶対」から抜け出し、軍事ではなく外交で平和をつくる
アメリカいいなりから抜け出すという日本改革の展望をもつ党として、「日米同盟」の4文字で思考停止となってしまう、こんな政治で良いのかを正面から問い、「戦争国家」づくりを止める論戦に大いにとりくみましょう。
総選挙のさなかに、沖縄を中心に日本有事を想定した大規模な軍事演習が行われました。また、米軍辺野古新基地建設は、総選挙直後から、新たな区域への土砂投入が開始されました。オール沖縄の勝利によって示された「辺野古新基地建設反対」「平和で豊かな沖縄を」という民意を踏みにじる石破・自公政権に断固抗議するものです。
世界には、軍事対軍事、ミサイル対ミサイルという「抑止力」強化ではなく、対話と外交、国連憲章と国際法によって平和を築こうという流れが、力強く前へと進んでいます。
来月10日には、日本被団協へのノーベル平和賞授賞式が行われます。核兵器の非人道性を世界に訴え、核兵器は絶対に使われてはならないという核タブーを国際社会に確立し、核兵器禁止条約を誕生させた――被爆者のみなさんの歴史的なたたかいに、私たちも敬意と連帯の拍手を送ろうではありませんか(拍手)。そして、来年3月の核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加、核兵器禁止条約の批准を政府に強く求めていきましょう。
アジア政党国際会議の成果――“対話と包摂で平和をつくる”ことこそアジアの平和の本流
わが党は「東アジア平和提言」で、ASEAN(東南アジア諸国連合)と協力して、包摂的な平和の枠組みをつくろうとよびかけ、この「提言」にもとづいて国内外での対話を繰り広げています。
今月、カンボジアのプノンペンで開催された「アジア政党国際会議」には、わが党から志位和夫議長が参加し、「軍事ではなく外交、排除ではなく包摂」と題して発言を行い、総会で採択される最終文書がよりよいものになるよう働きかけを行いました。
最終日の総会で全会一致で採択された「プノンペン宣言」には、「開かれた、平和な協議の場を通じて、対話を促進し、包摂性を育み、地域社会を結びつけることで、平和で調和した社会の創造に大きく貢献できることに合意した」など、“対話と包摂で平和をつくる”という方向が明確に打ち出されました。これはわが党の「平和提言」の根本的コンセプトそのものであり、「宣言」の採択はわが党の「平和提言」の方向が、アジアで起こっている平和の本流と深く響きあうことを示すものです。
日米軍事同盟の強化、ブロック政治による対立・分断ではなく、対話と包摂によって平和を構築する大きな流れがあることを、広く国民に知らせ、「軍事ではなく外交、排除ではなく包摂」という世論を国内外に広げていこうではありませんか。(拍手)
最後に、強く大きな党をつくることと一体に、広く国民と対話し、来年の都議選・参院選勝利の活動を進める、その先頭に党国会議員団、事務局のみなさんが立つことを心からよびかけます。
今年1月の第29回党大会で掲げた党建設の目標は2年間の目標であり、まもなく折り返し点を迎えます。党員現勢の後退から前進への転換は、「新しい政治プロセス」を前に進めるためにも、来年の選挙に勝利するためにも、何より、日本共産党の未来にとって緊急で死活的な課題です。国会での論戦を大いに知らせ、支部を励まし、党建設での飛躍をつくるために、ともに全力で奮闘しようではありませんか。このことを訴え、あいさつといたします。ともに頑張りましょう。(拍手)