2024年11月27日(水)
自衛隊、学校で勧誘チラシ
「防災訓練」を利用 批判広がる
自衛隊が「防災訓練」を利用して学校で講話などをし、終了後に自衛官募集のグッズやチラシを配る事例が各地で広がっていることがわかりました。「防災教育の目的を逸脱している」「武力を行使する主な役割を隠して、子どもを勧誘するチラシを配るのはやめてほしい」と批判が広がっています。(染矢ゆう子)
|
自衛隊和歌山地方協力本部によると、和歌山県では自衛隊が講師を務める「防災スクール」を23年度、小・中・高23校3650人に実施しました。今年度は「その1・5倍ほど」に増えているといいます。スクール終了後は、「アンケートの配布」として学校の許可を得て、「海上自衛官募集」と大きく書いたクリアファイルとボールペンを配ります。
「学校側がOKであれば全員に配ります。8割ぐらいの学校で配っています」と同地本の担当者は話します。
和歌山市のある市立中学校では今年6月、自衛隊を呼んで防災講話とAED(自動体外式除細動器)を使った救命救急訓練を実施。終了後、教員が「自衛隊の方がくれました」と「海上自衛官募集」と書かれたクリアファイルとボールペンを記念品として全生徒に配りました。
同中学校での自衛隊の防災スクールは初めて。校長は「市の校長会で自衛隊が防災訓練のプログラムを持っていると聞いて依頼した。普通の防災訓練ととらえている」と話します。自衛官募集と書いたファイルを配ることも問題視しませんでした。
他方、自衛隊は募集目標達成のための活動だとあけすけに語っています。事実上の自衛隊広報紙「防衛日報デジタル」では、防災学習での広報活動は「募集基盤の拡充」だとする鹿児島地本の広報担当者の言葉を紹介しています。「より多くの募集対象者に自衛隊の魅力を発信し、入隊意欲の高い適質人材の獲得に取り組んでいく」とのべています。
愛知地本の担当者は体験授業などで「学校などとのつながりを大切にし」て、「自衛隊の魅力の情報発信」を行い、「募集目標の達成にまい進する」としています。