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2024年11月26日(火)

日本民主青年同盟第48回全国大会

田村委員長のあいさつ(要旨)

 日本共産党の田村智子委員長が23日、日本民主青年同盟第48回全国大会で行ったあいさつの要旨は次の通りです。


写真

(写真)あいさつする田村智子委員長=23日、静岡県熱海市

 民青同盟第48回全国大会に、心からの連帯の思いを込めてあいさついたします。

 みなさんが、3年連続で、年間の同盟員拡大目標を達成し、現勢でも大きく前進して全国大会を迎えられたことに熱い拍手を送ります。一昨年は1500人、昨年は2000人、今年は3000人と、毎年新たな峰を掲げての目標達成は、まさに快挙です。

 総選挙でも、青年のなかに分け入って対話し同盟員を迎え入れ、選挙後も「自民・公明両党が過半数を割った今こそ要求実現のチャンス。民青のやり時」とよびかけ新たな仲間を迎え入れる―この経験に日本共産党が大きく励まされています。

 どういう対話で加盟を決意するのかと聞くと、「アメリカいいなり」「財界・大企業中心」という日本の政治の「二つの異常」が青年の要求や実態と本当にかみ合う、「二つの異常」をただす展望を一緒に学ぼうというよびかけが意欲を引き出している、資本主義の矛盾と社会主義への関心は強く科学的社会主義を学ぶ民青の魅力が響いている―直球・ど真ん中の答えが返ってきて、新しい政治情勢のもとで、日本の政治を前へ動かす希望が見えてくる思いです。

 この大会では、数万の民青をめざし、次の大会までに現勢で1万人といえる組織になるという目標を決議案に掲げていますが、大志ある目標として全力で応援したいと思います。

総選挙の結果と激動の情勢をどうとらえるか

 大会決議案が、「総選挙を終えて、いま、歴史的情勢がつくられている」「青年の模索が、自民党政治を乗り越え新しい政治をつくる巨大なうねりへと一気に変化するカウントダウンが始まっている」など、攻勢的に情勢をとらえ、この情勢にふさわしいたたかいと同盟建設を呼びかけていることに感動しました。

 「青年・国民が自民党政治に代わる新しい政治を模索する歴史的情勢が始まっている」、こうした情勢のとらえ方は、活動の構えに関わる大切なものです。総選挙結果について日本共産党は10月28日の常任幹部会声明でも「新しい政治プロセスが始まった」と述べました。中身をお話しします。

歴史的な選挙結果に日本共産党が大きく貢献

 総選挙の全体の結果は、何よりも自民・公明が過半数を割ったということにあり、この歴史的審判を私たちは心から歓迎しています。

 国民の審判は裏金への怒りですが、「こんなに暮らしが大変な時に、自民党議員たちは政治資金パーティーで裏金にまみれていたのか」という暮らしの困難への無為無策に対する怒りと結びつき、一過性ではない強い怒りとなって表れました。大軍拡に突き進む政治への不安、国民の声を無視した強権的な政治への批判なども含め、自民党政治全体に対する厳しい審判です。

 第2次安倍政権以降、政治モラルの崩壊や強権政治が繰り返され、批判の声が幾度となく国会を包囲した、それでも自民1強と言われる国会の状況が続いた。これが崩れた、動かなかった山が「やっと動いた」―まさに歴史的な審判だったと改めて実感しています。

 この国民の審判に、「しんぶん赤旗」と日本共産党が大きく貢献したことは、私たちの大きな喜びと確信です。

 裏金を暴き、裏金候補への2000万円振り込みのスクープで選挙終盤に「もう自民党はダメだ」という世論を決定的にさせた。日本共産党が30年間、真の政治改革を求め、自ら企業・団体献金も政党助成金も受け取らない姿勢を貫いたからこそ金にまみれた自民党を徹底追及できたのです。

若い世代ほど「自民党離れ」が顕著

 注目したいのは、若い世代ほど、自民党離れが大きく進んでいることです。

 3日付の「日経」は、「若者の自民傾斜 一転」と見出しを立て、「出口調査のデータを前回21年と比べて分析すると、自民党に投票する傾向があった若年層のほうがシニア層より新たな選択肢に流れた実態が浮かぶ」と分析。10月29日付の「朝日」も出口調査から、自民は「18、19歳で26%(前回42%)、20代で20%(同40%)、30代で21%(同37%)と支持を大幅に減らした」と報じました。

 この変化は、日本共産党への支持というところにはまだ来ていませんが、選挙後、党中央への「赤旗」購読申し込みがかつてなく寄せられ、その多くが若い世代。選挙ボランティアに参加した青年・学生が「自分にできることは何かないか」と入党していることや、民青のみなさんの対話と同盟員拡大も、青年の前向きな変化ととらえています。これを大きな流れにしていきたい。

「新しい政治」への模索と探求が始まった

 自民党政治に代わる「新しい政治」の中身について、国民や青年が今度の選挙で結論を出したかといえば、選択が明確になったわけではありません。日本の政治が変わる過渡的な段階が始まったということです。

 この「新しい政治プロセス」では、各党の真価が試されます。選挙で示された、国民とくに若い世代の民意のベクトルは、「自民党政治はダメだ」「新しい政治をつくりたい」という方向であり、これにこたえるか否かが問われるのです。

自民党政治を変えるのか、助けるのか、各政党が問われる

 選挙後の特別国会で、石破首相は再任されましたが、第2次石破政権は与党だけでは法案や予算を成立させることはできません。野党の反発にあい内閣不信任案が可決することもありうる、そうなれば内閣総辞職か解散・総選挙です。極めて不安定な状況で国政運営を行うことになります。

 だからこそ自民党はさまざまな策を弄(ろう)して野党取り込みを狙ってくるでしょう。さまざまな局面で各党が、国民要求にこたえて自民党政治を変える方向でがんばるのか、それとも自民党政治の延命に手を貸すのかが鋭く問われていきます。

「新しい政治プロセス」を前へ進めるために

 「新しい政治プロセス」が今後どう展開していくか、予断を持っていうことはできませんが、長期的な視野でみれば、さまざまな政治的体験を通じて、国民が、日本の政治の「二つの異常」をただす方向に進む可能性、必然性をもっています。

 同時に、それは自動的に進むというものではありません。政治を変えられまいとする勢力の策動は強まるでしょう。手を貸す勢力も出てくるでしょう。

 「新しい政治プロセス」を国民・青年とともに前へ動かすためになにが大切か。(1)直面する問題で、国民とともに要求運動にとりくみ、その実現に力をつくす(2)二つの異常なゆがみをただす日本共産党の日本改革の展望を語り、ともに政治を変えようとよびかける―要求運動と政治を変える展望を語る宣伝・対話―この「二重の構え」が私たちの基本姿勢です。みなさんが、青年のなかに分け入って「二つの異常」を知らせる対話にとりくんできたことに、大いに学びたいと思います。

来年の参議院選挙で、日本共産党の躍進を

 「新しい政治をつくりだし、情勢を前向きに突破していくために最も必要なことはなんでしょうか。それは日本共産党の躍進です」―みなさんの大会決議案にずばり書かれていることに、襟を正す思いです。来年の都議選・参院選挙に勝利する、またなんとしても強く大きな党をつくるためにがんばりぬきます。

「共産党ならではの豊かな発信方法」をつくりだす改革

 参院選勝利のためには、総選挙の反省を生かさなければなりません。党中央常任幹部会としての中間的な総括は、日常的な選挙のとりくみを推進する上で中央のイニシアチブに弱点があったと率直に反省として述べました。

 そのなかで、政策や党の姿を伝える自力の不足だけでなく、伝え方の改革が必要だと報告しました。ユーチューブ、インスタグラム、TikTokなどは、他党から大きく立ち遅れています。

 もちろん、最も確かで大切な活動は対面での対話で、そのなかで仲間を迎え入れ後援会員や読者を広げる活動です。これなしに「新しい政治プロセス」を前に進めることはできません。同時に、日本共産党を広く有権者に知らせるため「共産党ならではの豊かな発信方法」をつくりだす改革にとりくみたい。若い世代の知恵や力を得たいと考えています。

民青同盟の魅力を輝かせて、新しい政治へと進もう

 昨年の民青全国大会で、日本共産党の志位和夫委員長(当時)が、「民青同盟の三つの魅力を輝かせて、さらに大きな前進を」とあいさつをしました。この三つの魅力は、歴史的情勢のもとでいよいよ輝く時だと確信します。

青年の要求実現へ青年とともにたたかう

 一つ目は、青年の切実な願いにこたえ、その実現のために青年とともにたたかう―自民・公明過半数割れの国会で、要求実現の可能性が開かれています。青年がともにたたかうことは、どの政党が青年の要求に真剣に向き合っているかを知る青年自身の政治的体験ともなります。

〈学費値上げストップの緊急要求〉

 大学学費値上げを止めて、値下げ、無償化を求める運動をぜひ発展させてほしいと思います。

 東大の授業料2割値上げ、早稲田・慶応など私大での連続した授業料値上げなど、学費値上げが大問題となるなか、民青のみなさんは学習会や中央青学連としての署名行動にとりくんでいます。対話を通じて、学生の深刻な実態もよくつかまれていることと思います。

 この活動を、政治を動かす運動につなげましょう。国の責任で学費値上げを止めることはできます。東大の学費値上げは、学生1人あたり10万7000円です。この分を国が緊急助成すれば値上げの理由がなくなります。全国立大に行っても必要な予算は約100億円、私立大を含めても1000億円程度です。緊急助成を行えば学費値上げは止められます。

 総選挙で全ての政党が「教育無償」や「教育費負担軽減」を公約しました。それなのに、学費値上げを見過ごすのか、まさに全ての政党の態度が問われます。

 党国会議員団は、値上げストップを実現する立場で国会論戦に挑み、他党にも働きかけます。これを実らせることができるかどうかのカギは、国民とりわけ青年・学生の要求運動と世論の力です。請願署名やオンライン署名、宣伝・対話・国会行動などで、青年・学生の中に緊急に広げていきましょう。

〈敵基地攻撃能力保有・大軍拡反対のネットワーク運動〉

 「敵基地攻撃能力保有・大軍拡反対のネットワーク運動」は、平和への願いにこたえ、自民党政治に代わる新しい政治を求める運動として重要な意義を持つものだと確信します。

 総選挙中に、沖縄を中心として、大規模な日米軍事演習が行われました。自衛隊に負傷者が多数出た、日本有事を想定した異常な訓練でした。なぜこうした事態を想定するのか。台湾有事に米国が軍事介入すれば、在日米軍基地やミサイルを保有する自衛隊基地が攻撃対象となるからです。

 みなさんの「ネットワーク運動」は、危険な実態を知らせるとともに、戦争は嫌だ、ミサイルよりも暮らしの予算をという、青年の願いにこたえる大切な運動です。全国規模で青年のなかにネットワークを広げ、民青の魅力を発揮してほしいと期待しています。

日本の政治の「二つの異常」をただし、青年の模索にこたえる

 二つ目は、日本の政治の「二つの異常」―「アメリカいいなり」「財界・大企業中心」をただし、独立・平和・民主主義の日本を目指す青年組織だということ、これは、まさに新しい政治への青年の模索に応えるものです。

〈働く人の収入を増やすためには、大企業優先をただすことが必要〉

 「103万円の壁」がクローズアップされていますが、大切なのは税制のあり方です。生計費非課税―生活に必要な費用には税金をかけない、この立場で課税最低限度を103万円から引き上げることは必要です。しかし、それだけなのか。消費税は最悪の不公平税制です。生計費非課税の原則に立てば、廃止を目指し、緊急に減税することが求められます。

 そして、税制では応能負担原則が必要です。巨額の利益を得ている大企業・富裕層への税優遇という不公正な税制のゆがみをただすことこそ必要です。

 また、「手取りを増やす」と言って税制だけを問題とし、賃上げを棚上げすることは許されません。大企業が利益をあげても賃金にはまわらず巨額の内部留保がため込まれるだけ。このゆがみに切り込むことが、収入を増やす最も根本的な政策です。財界・大企業の利益最優先という政治のゆがみをただす改革こそ収入を増やす道です。

〈日米同盟絶対では、平和への希望が見えない〉

 「日米同盟」の4文字で思考停止になる政治でよいのかを真剣に問わなければなりません。総選挙の政見放送で、集団的自衛権行使容認や敵基地攻撃、大軍拡について、ほとんどの政党が何も語りませんでした。「戦争国家」づくりを進める勢力は、何を進めるのか国民に明らかにできない、そして「日米同盟絶対」の立場では大軍拡を正面から批判することができないのです。

 私たちは、大軍拡反対というだけでなく、憲法9条を生かした平和外交で戦争の心配のない東アジアを構築しようという、現実的で包括的な外交提言があります。これは「日米同盟絶対」の立場をとらないからこその提言です。アメリカに縛られずに世界をみれば、軍事ブロックではない平和の地域づくりを進める努力、国連憲章を尊重し大国に物言う国々の姿がみえてきます。これこそ民青同盟の魅力ではないでしょうか。世界をありのままにとらえ、平和の流れを促進する側に立つ、この民青の魅力を大いに広げましょう。

「人間の自由」「自由な時間」―科学的社会主義を学ぶ魅力

 三つ目は、日本共産党の綱領と科学的社会主義を学ぶ―この間、民青同盟のみなさんは、この魅力に磨きをかけてきたと思います。

 志位議長が講演した学生オンラインゼミ「Q&A 共産主義と自由」は、未来社会論を発展させる契機となりました。「搾取されているのは、モノやカネだけではなく、自由な時間だ」との解明は、「自由に処分できる時間こそ真の富」「自由な時間こそが、人間の自由で全面的な発展をもたらす」というマルクスの理論の探究へとつながり発展しています。また日本での労働時間短縮のたたかいを起こしていく理論的支柱となるものだと思います。

 みなさんが、科学的社会主義の理論学習とともに、「特別の取り組みとして、共産主義の正しい姿を伝えるキャンペーンを、ある時期に全国でいっせいに展開します」と大会決議案に掲げたことに、驚き、感動しています。日本共産党がみなさんとともに、このキャンペーンにとりくまずしてどうするかという思いです。日本共産党への攻撃を打ち破る核心となる運動であり、資本主義のシステムのままでよいのかと思いながら社会主義への展望を閉ざされている青年にとって大きな希望となる。日本の社会変革にとっても大きな力となるでしょう。

 党綱領の学習も科学的社会主義の学習も、世界や日本の情勢を科学的にとらえる力を育て、人類史の発展方向を展望し、主権者として、歴史の主人公として、どう生きるのかの羅針盤となります。

 この間の選挙であらわれた、SNSでのフェイク情報の氾濫、それに動かされてしまう若い世代の動向など、民主主義の危機ともいえる新たな問題も生じている時だからこそ、民青同盟で真理をじっくり学ぶ魅力、時代の主人公として生きていく魅力を、多くの青年たちに広げましょう。

 歴史的情勢のもと、新しい時代の扉をあける主人公は青年のみなさんです。それにふさわしい活動を積み重ねてこられた、このことを確信にして、さらなる民青同盟の発展へと奮闘されることを心から期待します。ともにがんばりましょう。


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