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2024年11月26日(火)

主張

自公国の3党合意

生活向上に政策全体の転換を

 「生活が苦しい」「収入を増やしたい」―国民の切実な願いです。先の総選挙では、物価高や実質賃金低下を招き、打開策もない自民党の経済政策に国民の審判が下りました。自公は過半数割れし、与党だけでは予算が通せなくなりました。

 そうした新しい政治状況のなか、自民・公明・国民民主の3党は5回の協議の末、国民民主が選挙で掲げていた、いわゆる「103万円の壁」の引き上げで合意し、政府の総合経済対策に盛り込みました。

■「103万円の壁」

 「103万円の壁」の103万円とは、年収がそれを超すと所得税が課税される課税最低ラインです。「生活に必要な生計費は非課税」の原則に基づきます。

 日本の課税最低限は世界的にみて低いうえ、物価が上がっているのに1995年から据え置かれてきました。引き上げは、すべての人にとって必要です。

 学生の場合、アルバイト収入がこれを超すと親の扶養から外れ、親の税金が大きく増える場合があるため、超えないよう働く時間を制限する例が起きており、「壁」とされます。

 課税最低限の引き上げは当然ですが、そもそも学生が103万円を超えて働かなければならない状況を改善すべきです。学費の値下げ・無償化、給付制奨学金の拡充を直ちに実行すべきです。

 総選挙で「103万円を178万円に引き上げる」と打ち出した国民民主が国会でキャスチングボートを握った結果、自公国の協議がそこに集中しています。

 しかし、暮らしをよくするには、▽消費税廃止に向け緊急に5%に減税▽中小企業を直接支援し最低賃金を1500円に上げる―などの施策や、大企業のもうけ優先の「アベノミクス」の転換など抜本的な対策が欠かせません。「壁」問題もそのなかで議論する必要があります。

 財源をどうするかも避けて通れません。財源次第では逆に国民生活を苦しめます。消費税増税や社会保障削減は許されません。大企業・富裕層優遇税制の見直し、大軍拡中止など、財界・米国優先から暮らし最優先へ経済・財政政策を転換する改革が不可欠です。

■通じない従来路線

 課税最低限の引き上げ幅や財源などは、今後3党で協議を続けるといいます。

 これまで予算や税制改正などは事前に自公が協議し、そこで決めたことが数の力で押し通されてきました。自公過半数割れという新たな政治プロセスの下で、国会審議という、国民に見える場での議論が求められています。従来型の閉ざされた協議で押し切ろうとすれば、国民の新たな審判を受けざるをえません。

 3党の合意文書は、補正予算について「年内の早期成立を期す」とし、来年度予算についても3党で協議を続け「誠意を持って行動する」としています。

 国民民主には、「103万円」の見直しと引き換えに、大軍拡推進、社会保障切り捨てで国民生活に大きなマイナスをもたらす予算案に賛成し、自民党政治の延命に手を貸すのかが問われます。

 日本共産党は、経済・財政政策全体の転換を求め、国民要求実現のために力を尽くします。


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